喫茶店
椅子に座る。
壁に寄りかかって息をするのが好き。
「ご注文はお決まりですか?」
「コーヒーを一杯ください」
目の前で君が笑っていた。
「いつも壁際に座るね、どうして?」
仕方ないじゃない。
好きなんだから。
「それで、君は何を頼む?」
君はいつの間にか居なくなっていた。
僕のコーヒーを飲み干して。
「全く、なんて奴だ」
僕の寄りかかる壁まで消して行った。
「全く、なんて奴だ」
でも、君はそういう奴だから。
僕は時計と睨めっこして、手を小さく上げる。
「すいません。コーヒーのお替りください」
「はい、かしこまりました」